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№12 「磯節を次世代に」茨城県ひたちなか市「磯節道場」にインタビュー

 

日本三大民謡の一つともいわれる「磯節」。
江戸時代から、大洗や那珂湊の漁師たちの間で豪快な中にも情緒あふれる磯節が唄われていたと伝えらます。
その後、芸者さんの座敷唄となり、三味線の伴奏がつき、花柳界(かりゅうかい)で盛んに唄われる民謡となりました。今では、伝統芸能として地元の小中学校でも学ばれています。
そんな那珂湊の伝統芸能「磯節」を今に受け継いでいる「磯節道場」の代表、谷井法童(たにいほうどう)さんにお話を伺いました。

 

 

磯節を次世代に。「磯節道場」の活動

「磯節道場」は、代表の谷井さんが、お父様の初代谷井法童さんの遺志を継いで始められたものです。
初代谷井法童さんは、生涯を、磯節の普及活動に捧げ、「磯節の父」と呼ばれた方です。初代が活動していた明治から昭和の時代は、周囲の人から「磯節はお座敷遊びの唄。昼間からお遊びとは」と言われ、理解を得られず批判的な意見に大変苦労したそうです。

 

しかし、初代は仕事の傍ら、バス巡業などの活動を続け、その功績が認められて国や県、民謡協会から数々の賞や感謝状を贈られるようになりました。
昭和47年に初代が亡くなられた後、遺志を継いで、息子の谷井法童さんが、昭和50年に磯節道場を創設しました。
道場では、子供たちにも伝え、未来に磯節を残していこうとされています。毎週土曜日の練習に加え、高齢者施設慰問など発表する活動も盛んです。

 

 

磯節道場の自慢は「各世代に広がる層の厚いメンバー」

谷井さんが「これだけは自慢できる」というのが、「各世代のメンバーが揃っていること」と言います。メンバーは幼児から高校生まで幅広く、協力する保護者の層も厚いのが特徴です。踊りだけでなく、礼儀も身に着けることができる道場は、世代を超えた人とお付き合いを通した人間育成の場となっているようです。

 

 

「伝統芸能に触れる環境を作ること」読者の皆さんに伝えたいこと

親しみを込めて「おじいちゃん」と呼ばれる谷井さん。最後に伝統芸能やお祭りに興味を持つ読者の皆さんに伝えたいことを伺うと、
「子供は、やらせてみればみんな好きになります。触れられる環境を大人が用意するかどうか、です。まず子供たちを道場に連れてきてください。受け入れ態勢は万全なので、きっと楽しんでもらえますよ。」と自信たっぷり。
人間的にも成長できる磯節道場で、伝統芸能の世界に飛び込んでみませんか?