茨城の民話Webアーカイブ

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お羽の井戸

オハネ ノ イド

原文

むかし、島崎(現在の牛堀町島須)のお城にお羽という若い女中がおりました。
お羽は、たいそう働きもので、その上、美しい声の持主でした。
いつもきれいな声で楽しそうに歌をうたいながら仕事をしていました。
ある日のこと、庭を見ていたお城の殿様のもとに、どこからともなく美しい歌声が聞こえてきたのです。殿様は、その歌声にさそわれるまま歩いていくと、お羽が洗たくをしている井戸のそばまできていました。
お羽が人の気配を感じ、はっと顔を上げると、目の前に殿様が立っているではありませんか。お羽はびっくりして声もでませんでした。
殿様は名をおたずねになり、彼女の美声をおほめになりました。
それからというもの若い殿様は、お羽をたいへん気に入り、お羽が仕事をしているところへしばしば足を運ぶようになりました。
でも、殿様と女中のお羽の恋がゆるされるはずもなく、とうとう殿様の母上に知れて、二人の仲はひきさかれてしまったのです。
お羽は、母上の監視のもとにおかれ、つらい仕事ばかりさせられるようになりました。
そんなある日、お羽は母上に家宝の金の茶釜を洗うように命じられ、やっと茶釜を洗い終えた時でした。
母上に命じられた女中がわざとお羽にぶつかってきたのです。その拍子に、茶釜は井戸の中へ落ちてしまいました。
「申し訳ありません。おゆるし下さい。」と泣いてわびるお羽に、母上は、「井戸の中の茶釜をとってきなさい。」ときつくいいわたしたのです。
お羽はすぐその命令の意味をさとり、井戸に身を投げてしまいました。
殿様は、お羽の死を悲しみ、それ以来この井戸をお羽の井戸と呼ぶようになったということです。

 

市町村 潮来市
原文著者 染谷 萬千子
原文著者(ヨミ) ソメヤ マチコ
生年 1947年
原文著者備考 1947年茨城県ひたちなか市生まれ
茨城大学教育学部美術科卒
1973年から1999年まで約26年間朝日広告社茨城支局に勤務し、新聞広告他制作を担当。1981年から茨城の自然探訪シリーズ「ふるさとの昔ばなし」を制作。現在も継続中。余暇には、旧姓岩谷萬千子で版画・アクリル画の政策に取り組む。
1977年 日本板画院展新人賞受賞 水戸で第一回個展
1983年 水戸で第二回個展
1990年 いすゞギャラリーで「ふるさとの昔ばなし」版画展
原文著者 茨城いすゞ自動車
原文著者(ヨミ) イバラキ イスズ ジドウシャ
原文著者備考 発行
原文著者 朝日広告社茨城支局
原文著者(ヨミ) アサヒコウコクシャ イバラキシキョク
原文著者備考 企画
媒体 図書
収録資料名 ふるさとの昔ばなし
収録資料名(ヨミ) フルサト ノ ムカシバナシ
収録資料シリーズ名 茨城の自然探訪シリーズ
民話ページ P66 〜 P66
収録資料出版社 茨城いすゞ自動車
収録資料出版年月日 2000.10.31
言語 日本語
方言 標準語
備考 非売品

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