金の糞をする馬
キン ノ クソ オ スル ウマ
原文
むかし、額田(現在の那珂町額田)のたっつぁいは、水戸の殿様でさえも馬をとりあげられてしまったほどのちくぬき(ほらふき・うそつき)の名人でした。
ある時、その馬が金の糞をするといううわさがたちました。
「たっつぁいがねぇ、何をしているのかと思ったら、川で馬糞をゆすいでいたの。よく見るとね、糞の中にキラキラ光るもんがあるのよ。あれはまちがいなく金ですよ、金。」
見たというのが、それはもうおしゃべりで有名なおかみさんだったので、このうわさは、あっという間に、よその村までひろまり、たっつぁいのところに、馬を売ってほしいという欲の深い人が大ぜいおしかけました。
たっつぁいがことわりつづけるので、馬の値段はどんどんはね上がり、とうとう百両もの値がついてしまいました。そこでたっつぁいは、しぶしぶその馬を手放すことにしたのです。
ところがしばらくすると、馬を買っていった男が、たっつぁいのところへかんかんになってどなりこんできました。
「おい、たっつぁい。よくもだましたな。あの馬は、金の糞なんぞしねえじゃねえか。」するとたっつぁいは、すずしい顔でこういったのです。
「だんなさん、馬に何のエサを食わしてるんですか。私はいつも金を食わしてたんですよ。」
欲ばりなその男は、たっつぁいに、まんまといっぱい食わされたのでした。
市町村 | 那珂市 |
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原文著者 | 染谷 萬千子 |
原文著者(ヨミ) | ソメヤ マチコ |
生年 | 1947年 |
原文著者備考 | 1947年茨城県ひたちなか市生まれ 茨城大学教育学部美術科卒 1973年から1999年まで約26年間朝日広告社茨城支局に勤務し、新聞広告他制作を担当。1981年から茨城の自然探訪シリーズ「ふるさとの昔ばなし」を制作。現在も継続中。余暇には、旧姓岩谷萬千子で版画・アクリル画の政策に取り組む。 1977年 日本板画院展新人賞受賞 水戸で第一回個展 1983年 水戸で第二回個展 1990年 いすゞギャラリーで「ふるさとの昔ばなし」版画展 |
原文著者 | 茨城いすゞ自動車 |
原文著者(ヨミ) | イバラキ イスズ ジドウシャ |
原文著者備考 | 発行 |
原文著者 | 朝日広告社茨城支局 |
原文著者(ヨミ) | アサヒコウコクシャ イバラキシキョク |
原文著者備考 | 企画 |
媒体 | 図書 |
収録資料名 | ふるさとの昔ばなし |
収録資料名(ヨミ) | フルサト ノ ムカシバナシ |
収録資料シリーズ名 | 茨城の自然探訪シリーズ |
民話ページ | P101 〜 P101 |
収録資料出版社 | 茨城いすゞ自動車 |
収録資料出版年月日 | 2000.10.31 |
言語 | 日本語 |
方言 | 標準語 |
備考 | 非売品 |