鶴に乗って飛び立った神官
ツル ニ ノッテ トビタッタ シンカン
原文
むかし鹿島神宮に仕える神官の中に卜部活麿という人がおりました。
彼は、毎日のように鶴の舞い降りる丘にでかけては、エサをやったり、話しかけたりして、まるで我が子のように鶴をかわいがっておりました。
ある日のこと、村人たちが仕事の手を休めて顔を上げると、空高く飛び立つ鶴の姿が目に入りました。
でも何かいつもと様子が違うので、目をこらしてよく見ると、鶴の背に人が乗っているのです。
「おい、誰か鶴の背中に乗っているぞ。」
「どれどれ、ありゃ、禰宜さまだよ。どこへ行くんだろうな。」
驚く村人たちを尻目に、鶴は空のかなたに消えていってしまいました。
それから三年ほどたったある日、神官が、ひょっこりと鶴に乗って戻ってきたのです。
すっかり忘れていた村人たちはこれまたびっくり。
三年間どこで何をしていたのか、誰に聞かれても話さず、以前のように、鹿烏神宮の神官として奉仕に務めておりました。
帰ってきてからの神官は、一段と気高さを増し、また驚くほど長生きをしたので、後に、村人たちは、彼のことを鶴の化身とか天人などといって尊敬したということです。
彼の霊をまつる塚は、「千年塚」、「鶴来」、「天人帰」とも呼ばれ、鹿島神宮駅の北方の高台、宮中野古墳群にあるそうです。
市町村 | 鹿嶋市 |
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原文著者 | 染谷 萬千子 |
原文著者(ヨミ) | ソメヤ マチコ |
生年 | 1947年 |
原文著者備考 | 1947年茨城県ひたちなか市生まれ 茨城大学教育学部美術科卒 1973年から1999年まで約26年間朝日広告社茨城支局に勤務し、新聞広告他制作を担当。1981年から茨城の自然探訪シリーズ「ふるさとの昔ばなし」を制作。現在も継続中。余暇には、旧姓岩谷萬千子で版画・アクリル画の政策に取り組む。 1977年 日本板画院展新人賞受賞 水戸で第一回個展 1983年 水戸で第二回個展 1990年 いすゞギャラリーで「ふるさとの昔ばなし」版画展 |
原文著者 | 茨城いすゞ自動車 |
原文著者(ヨミ) | イバラキ イスズ ジドウシャ |
原文著者備考 | 発行 |
原文著者 | 朝日広告社茨城支局 |
原文著者(ヨミ) | アサヒコウコクシャ イバラキシキョク |
原文著者備考 | 企画 |
媒体 | 図書 |
収録資料名 | ふるさとの昔ばなし |
収録資料名(ヨミ) | フルサト ノ ムカシバナシ |
収録資料シリーズ名 | 茨城の自然探訪シリーズ |
民話ページ | P168 〜 P168 |
収録資料出版社 | 茨城いすゞ自動車 |
収録資料出版年月日 | 2000.10.31 |
言語 | 日本語 |
方言 | 標準語 |
備考 | 非売品 |