茨城の民話Webアーカイブ

ヘッダーライン
あいうえお順検索
くわしい検索
ライン

検索結果にもどる

田吾作といたずら狐

タゴサク ト イタズラ ギツネ

原文

むかし堀之内(行方郡牛堀町)に田吾作という怠け者の男がおりました。
田吾作は、仕事もしないで、毎日遊んでばかりいるのです。
ある日のこと、田吾作は、ふらっと山の方へ出かけていきました。
「そうだ。このあたりには、いたずら狐がすんでいるんだ。よーし今日は、俺様が逆にだましてやろう。」田吾作は、まず狐のかっこうをして近づき、こっそり仲問のふりをして紛れ込みました。
狐をだますつもりだった田吾作ですが、そこは根っからの怠け者、楽しく遊んでいるうちに、そんなことも忘れ、「こりゃ、人間より楽でいい。」と、すっかり狐になりきっておりました。
そのうちく一匹の狐が、「人間に化けて、村に遊びに行こうよ。」と言い出したのです。他の狐たちもすぐに賛成し、それぞれ、頭に木の葉を乗せて呪文らしきものを唱えると、上手に人間に化けました。田吾作もまねをして、人間の姿に戻り、仲間に加わりました。
そして、一行は山を下りると、田吾作の家に行き、飲めや歌えの大騒ぎを始めたのです。
近所の人たちは、あまりに田吾作の家が騒々しいので何事かと様子を見にやってきました。でも、狐たちは、村人に見破られることはあるまいと、知らんふりをして酒盛りを続けていました。
ところが、まだ化けるのが未熟な子狐がいて、そのしっぼが見えてしまっていたのです。
「やっぱり、あのいたずら狐たちだ。こんどこそとっちめてやる。」
村の人たちは、相談の上、煙でいぶし出してこらしめることにしました。
突然煙に巻かれ、息苦しくなって家から飛び出した狐たちは、死に物狂いで山に逃げ帰りました。田吾作は、「俺は、狐じゃねえ。田吾作だよ。勘弁してくれ。」と謝ったのですが、狐と同様に村から追い払われてしまったのです。
その後、田吾作は、村人にも、狐の仲間にも入れてもらえず、山のふもとで一人寂しく暮らしたということです。

 

市町村 潮来市
原文著者 染谷 萬千子
原文著者(ヨミ) ソメヤ マチコ
生年 1947年
原文著者備考 1947年茨城県ひたちなか市生まれ
茨城大学教育学部美術科卒
1973年から1999年まで約26年間朝日広告社茨城支局に勤務し、新聞広告他制作を担当。1981年から茨城の自然探訪シリーズ「ふるさとの昔ばなし」を制作。現在も継続中。余暇には、旧姓岩谷萬千子で版画・アクリル画の政策に取り組む。
1977年 日本板画院展新人賞受賞 水戸で第一回個展
1983年 水戸で第二回個展
1990年 いすゞギャラリーで「ふるさとの昔ばなし」版画展
原文著者 茨城いすゞ自動車
原文著者(ヨミ) イバラキ イスズ ジドウシャ
原文著者備考 発行
原文著者 朝日広告社茨城支局
原文著者(ヨミ) アサヒコウコクシャ イバラキシキョク
原文著者備考 企画
媒体 図書
収録資料名 ふるさとの昔ばなし
収録資料名(ヨミ) フルサト ノ ムカシバナシ
収録資料シリーズ名 茨城の自然探訪シリーズ
民話ページ P206 〜 P206
収録資料出版社 茨城いすゞ自動車
収録資料出版年月日 2000.10.31
言語 日本語
方言 標準語
備考 非売品

このおはなしが伝えられた地域

資料スキャンデータダウンロード