筑波山(つくばさん)
男体山、女体山の二峰からなる標高877mの山で、古くから信仰の対象となっていた。『常陸国風土記』筑波郡の条には、訪ねてきた神祖の尊の宿泊を富士山は新嘗の諱忌を理由に断ったのに対し、筑波山は歓待したため、1年中雪が降り積もる富士山に対し、筑波山は人々が行き集うことが絶えなくなったとの伝説が記載されている。
指定の種別 | 未指定 |
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市町村名 | つくば市ほか |
所在地 | つくば市筑波ほか |
担当課 | つくば市教育委員会文化財課 |
電話番号 | 029-883-1111(内線:4640) |
参考URL | なし |
常陸国風土記の記載内容
筑波郡
古老の曰へらく、昔、神祖の尊、諸神の処に巡り行でまししに、駿河の国福慈の岳に至りたまひて、卒に日暮に遇ひ、寓宿を請欲ひたまひき。此の時、福慈の神答へて曰へらく、「新粟の初嘗して、家内諱忌せり。今日の間は、冀はくは許し堪へじ。」とまをしき。是に、神祖の尊、恨み泣きて詈告りたまひしく、「即ち汝が親ぞ。何ぞも宿さまく欲りせぬ。汝が居める山は、生涯の極、冬も夏も雪霜ふり、冷寒重襲り、人民登らず、御食を奠るものなけむ。」とのりたまひき。更に筑波の岳に登りまして、亦容止りを請ひ給ひき。此の時、筑波の神答へて曰へらく、「今夜は新粟嘗すれども、敢へて尊旨に不奉ひまつらじ」とまをしき。爰に、飲食を設けて、敬拝み祇承へまつりき。是に、神祖の尊、歓然びて謌ひたましく、愛しきかも我が胤巍きかも神宮天地の竝斉日月と共同に人民集ひ賀ぎ飲食富豊に代代に絶ゆること無く日に日に弥栄え千秋万歳に遊楽窮らじとのりたまひき。是を以ちて、福慈の岳は、常に雪降りて登臨ることを得ず。其の筑波の岳は、往き集ひ、歌ひ舞ひ、飲み喫ふこと、今に至るまで絶えざるなり。(以下略く)