賀毘礼の高峰(かびれのたかみね)
久慈郡の条に、薩都(常陸太田市里野宮)からみて東の大きな山を「賀毘礼の高峰」と呼んでいるとある。この地に悪さをして村人を困らせる立速男命たちはやをのみことという神がいた。村人は有りのままを天皇すめらみことに訴えたところ、天皇は片岡の大連おおむらじを派遣した。片岡の大連はこの神を敬い祭り、どうかここを避けて、高い山の清浄なところに鎮しずまってください、と祈ったところ、立速男命は聞きいれて、賀毘礼の峰に登った、という話が伝えられている。御岩山は、岩山で古代の祭祀遺跡が見つかっており、また霊山とされており、「賀毘礼の高峰」の有力な候補地である。他に神峰山、高鈴山も候補にあげられている。
指定の種別 | 未指定 |
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市町村名 | 日立市 |
所在地 | 日立市(御岩山、神峰山、高鈴山など) |
担当課 | 日立市郷土博物館 |
電話番号 | 0294-23-3231 |
参考URL | なし |
常陸国風土記の記載内容
久慈郡
薩都里あり。……東の大き山を、賀毘礼の高峰と謂ふ。即ち天つ神在す。名をば立速男命と称ふ。一名は速経和気命なり。本、天より降りて、即ち松沢の松の樹の八俣の上に坐しき。神の祟、甚だ厳し。有る人、向きて大小便を行る時は、 災を示さしむ。故、疾苦あれば、近則に居すむ人、御岩山(「賀毘礼の高峰」の有力候補地)毎つねに甚く辛苦みて、状を具べて朝に請ひまをす。片岡大連を遣して、敬ひ祭らしむるに、祈み曰さく、「今、此処に坐せば、百姓近く家して、朝夕に穢けが臭らはし。理、坐さしめず。宜、避り移りて、高山の浄き境に鎮まりますべし」とまをす。是に、神、禱告を聴て、遂に賀毘礼の峰に登りましき。その社は、石を以ちて垣とし、中に種属甚と多し。幷せて、 品の宝、弓・桙・釜・器の類、皆石となりて存れり。